ヘルマン・ヘッセ「車輪の下」

ヘルマン・ヘッセという名前はさすがに聞いたことがある。ぼくも物心ついたころからその名前はなんとなく知っていた。作家なのかなんなのか知らなかったけれど。30歳になって初めて読んでみた。そしたらびっくりしたんだ。今っぽすぎて。

秀才が厨二病にかかって落ちこぼれる話

軽くストーリを説明しておくと、めちゃめちゃ頭のかしこい、出来の良かった主人公のハンスが周りからのプレッシャーもしっかりどっしり背中に背負いつつ、州試験ってゆうめちゃめちゃかしこいやつしか入れない試験に合格するのね。そして、秀才の集まるその学校に行くんだけど、そこで仲良くなった奴がちょっと難しいやつで、そいつの影響を良くも悪くもバリバリ全身で浴びながら、勉強と友情の狭間でもがき結局堕落して、学校やめちゃうのね。そして、その後恋もするんだけど・・・まったく光が見えずに物語は終わる。

 

まじめすぎるが故の闇

もうびっくりしたよね。びびった。主人公はハンスっていうんだけど、えげつないくらい童貞感満載なの。すごくまじめで、周りに期待されているから勉強頑張ります!って感じの。父さんが喜ぶんでやらなきゃ!って。

こうゆう話って現代のブラック企業とかの話と少し似てるなって思いながら読んでた。

多分ね本人は釣りがものすごい好きだったの幼いころ。釣りが大好きで、勉強頑張るのも釣りの道具を買ってもらうのをモチベーションとしてやってるみたいなところがあったの。

でもいつの間にかそんなことも言えなくなってきてしまうのね。州試験のプレッシャーとかもあって、唯一の趣味だった釣りすら親に遠慮してやらなくなってくの。

期待を裏切っちゃダメだ。偉くならなきゃって。

誰のための人生なんだよ!とかそんなことも考える暇もないのよね本人は。やらなきゃって。まじめだよね本当に。

 

友達との距離感もミスる

ハルトナーって友達が一番仲よかったんだけど、なんかそいつが結構変わってて、まあ言っちゃえばメンヘラなのね。男なんだけどものすごいメンヘラでハンスに受け入れてもらえなきゃ怒るのよ。ハンスが勉強してようが何してようが、俺がきたら構ってくれと。いつなんどきでも構えと。

こうなると、勉強できないじゃん?じゃあ成績下がるよね。

これも、めちゃくちゃ今っぽくない?能力があったとしても、人って環境に左右されやすすぎて簡単に変わっちゃうんよね。

言い返せばいいじゃん?って思うかもしれないけど、ハンスはその受け入れてあげるが友情だと多分勘違いしたのね。あとは、やっぱ人に必要とされてると思うことで、自分の承認欲求が満たされたんだと思うんだよね。

人との距離感って難しいよね。

 

恋もめちゃめちゃ青い

ハンスは学校やめて実家に帰るんだけど、そこで恋をするの。初めての恋を。でもね、ハンスは童貞で今まで恋愛なんてしたことないのよ。その初めて恋愛した時の生々しさがすごいリアルに描かれてて、やっぱ歴史に名を刻む人はやばいなって思ったよね。

人を好きになって、初めて女の子に触れて、キスをした瞬間世界がまったく別物になる感じ。みなさんもあるでしょ?中学か高校かわからないけれど、初めて好きな子に触った瞬間のあの

「あーもう全部いらねえわ。親とか学校とかどうでもいいわ。この子だけでいいわ。この子のために働きてえ」

みたいな病気。これがものすごいリアルに描かれてる。息苦しいのよハンスは。恋をしてものすごい息苦しいの。世界が変わってしまって苦しいのよ。

 

まとめ

最後は、思ってるよりバッドエンドなんだけど、人間の感情の揺れ動きをここまで詳細に表現できることになんだか嫉妬したよね。現代小説は現代小説の読みやすさがあるし、僕たちの生活に引き寄せて考えやすいから共感も呼びやすい。でも、年代も国も社会環境も違うこの作家の物語にここまで心動かされるのは、ヘッセが人間の普遍的な人間臭さを表現してるからなんだろうな。

古典と言われる作品は、どれもこれも感情表現が濃い。それがずっしり重い。その重さが気持ちいいんだよね。

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