店員に怒鳴り散らかす男

コンビニのレジを待つ。

僕の前には3人。おばあさん、中年男性、そして僕。いま店にある二台のレジは埋まっている。僕はアイスコーヒーを頼みたいだけなので、手ぶらだ。前の男性も手ぶらだから、タバコかもしれない。

レジは、荷物の配送サービスやら、少々のクレームやらを対応していた。見たらわかるように、普通のお会計をするよりかなり大変そうだ。僕も、レジのバイトはしたことがあるから、その気持ちはわかる。できることなら、そうゆうめんどくさい作業は自分のレジの時間帯にはこないで欲しいと思っていた。

樽に剣を刺したら飛び出すあのおもちゃのように、いつ来るかわからない貧乏くじ。横目にでかい荷物を持った客がレジにきたとわかったら、他の作業するフリしてわざと他のやつにレジを担当させていた。そんな事を思い出した。

前にいる男性が急に怒鳴りだす。

「何やってんねん。はよしてや。もう一個レジ開けてくれたらええやん」

ぱっと見、確かに店内にはレジが三台ある。でも、使っているレジは二台。そう、おそらく店員の数が足りない。そんなことまで考えもしないのだろう。男性はいつもイライラしたらそうなることが当然の義務かのように貧乏ゆすりをはじめていた。

おばあさんは少し嫌そうな顔で振り返る。

「よかったら、先にどうぞ」

男性は怒った手前か自分が子供じみたマネをしてしまった恥じらいからか、無愛想に頭を少しだけ下げて列の一番前に出た。

もうかれこれ5分以上は列に並んでいる。

この男性が特別理不尽だとも思わないし、店員側の不手際もあっただろう。明らかにその業務に慣れていないようだったし、発送を担当しているバイトの女の子はいちいちもう片方のベテラン店員に手順を聞いていた。ベテラン店員は、そっちで返品のクレーム処理をしていた。

いつもの光景と言っていまえば、それまでなのだがやけに心に残ったのはなぜだろうか。

レジに並んでいる側は、店員の立場になって考えられない。店員の側はレジに並ばされている客の立場にはなれない。

お互いをお互いの目線から見ることはむずかしい。

レジに並びながら僕はそんな事を考えていた。

 

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